会計・数字
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決算書は、税金を計算するためだけのものだろうか。
決算が終わると、会社の1年間の数字がまとまります。
売上はいくらだったのか。
利益はいくら残ったのか。
経費は前年より増えたのか、減ったのか。
そして、今年の税金はいくらになるのか。
税理士という仕事をしていると、こうした数字をお客様に報告する機会がたくさんあります。
もちろん、正しい決算書を作成し、税金を計算することは、税理士の大切な仕事です。
でも、私はいつも思うことがあります。
決算書は、税金を計算するためだけのものなのだろうか。
せっかく1年間の経営の結果が数字になっているのに、それを確認するだけで終わってしまうのは、少しもったいない気がするのです。
過去の数字を確認するだけで終わっていないだろうか
例えば、決算報告でこんな話をしたとします。
「今年の売上は1億円でした」
「前年より1,000万円増えましたね」
「利益は500万円でした」
「今年の税金はこれくらいになります」
ここまで聞けば、社長も会社の業績を理解できると思います。
でも、それだけで決算報告が終わってしまったら、どうでしょうか。
売上が増えた理由は何だったのか。
利益が思ったほど残らなかったのはなぜなのか。
前年と比べて、会社のどこが良くなったのか。
逆に、どこに課題があるのか。
こうしたことまで考えると、決算書の見え方が変わってくるように思います。
数字は結果です。
その数字の背景には、社長や社員の皆さんが1年間取り組んできた仕事があります。
私は、数字そのものだけでなく、その数字になった理由を考えることが大切だと思っています。
同じ利益でも、会社の中身は違う
例えば、同じ500万円の利益が出ている2つの会社があったとします。
A社は、売上が順調に伸びていて、利益も増えています。
一方、B社は、売上が減っているものの、経費を削減したことで500万円の利益を確保しました。
どちらも決算書に表示される利益は500万円です。
でも、会社の状況は同じでしょうか。
A社では、売上が伸びている理由を確認し、今後も成長を続けるために何が必要なのかを考えたいところです。
B社では、経費削減の効果を確認するとともに、売上が減っている理由についても考える必要がありそうです。
同じ利益でも、その背景によって、これから取り組むべきことは変わってきます。
だからこそ、決算書の数字を単独で見るのではなく、前年との比較や売上・経費の内訳なども確認することが大切なのだと思います。
決算書から、来年のことを考えてみる
私は、決算報告で最も大切にしたいのは、ここから先の話だと考えています。
今年の売上が1億円だった。
では、来年はどうしたいのか。
1億1,000万円を目指すのか。
それとも、売上は今の水準を維持しながら、利益を増やしたいのか。
あるいは、新しい社員を採用して、社長自身が現場の仕事を減らせるようにしたいのか。
目指す姿によって、必要な取り組みも変わります。
例えば、社員を1人採用するのであれば、年間でどれくらいの人件費が必要になるでしょうか。
その費用を負担するためには、売上や利益がどれくらい必要になるでしょうか。
設備投資を考えているのであれば、投資したお金をどのように回収していくのでしょうか。
こうしたことを考えるときに、決算書は大切な判断材料になります。
過去の数字を確認しながら、未来の数字を考える。
私は、そこに決算書の大きな価値があると思っています。
数字がわかると、経営の選択肢が増える
経営には、さまざまな判断があります。
社員を採用する。
給与を上げる。
新しい設備を導入する。
新しい事業に挑戦する。
あるいは、今は無理に拡大せず、会社の体制を整える。
どれが正解なのかは、会社によって違います。
ただ、数字を把握している場合と、そうでない場合とでは、判断の仕方が変わってくるのではないでしょうか。
例えば、利益率がわかっていれば、売上をどれくらい増やす必要があるのかを考えやすくなります。
固定費がわかっていれば、会社を維持するために必要な売上の目安も見えてきます。
借入金の返済予定がわかっていれば、今後必要になる資金も考えやすくなります。
もちろん、数字だけですべてが決まるわけではありません。
社長の想いや社員の状況、お客様との関係など、数字では表せない大切なこともたくさんあります。
それでも、数字という判断材料があることで、社長は自分の考えを整理しやすくなると思うのです。
数字は、社長の判断を縛るものではなく、判断を支えるもの。
私は、そんなふうに考えています。
できれば、決算を待たずに考えたい
ここまで決算書について書いてきましたが、もう一つ大切にしていることがあります。
それは、決算が終わるまで待たないことです。
決算書は、基本的に1年間の経営の結果をまとめたものです。
でも、会社の経営は毎日続いています。
例えば、決算が終わってから、
「もう少し早く対策しておけばよかった」
と思うことがあったとしたら、どうでしょうか。
毎月の数字を確認できていれば、もっと早い段階で気づけたこともあるかもしれません。
だからこそ、私は月次決算を大切にしています。
毎月の売上や利益を確認する。
計画と実績を比較する。
予定どおりに進んでいること、思うように進んでいないことを整理する。
そして、必要であれば次の行動を考える。
これを繰り返していくことで、数字が単なる報告資料ではなく、経営に役立つ情報になっていくのだと思います。
決算書は、未来を考えるための材料
決算書に書かれているのは、過去の数字です。
そこに、来年の売上や5年後の会社の姿が書かれているわけではありません。
でも、過去の数字を丁寧に見ていくことで、未来を考えるためのヒントは見つかります。
何がうまくいったのか。
何を改善したいのか。
これから、どんな会社にしていきたいのか。
そのためには、何が必要なのか。
私は、決算書を見ながら、社長とそんな話ができることに大きな意味があると思っています。
決算書を作ることが目的ではありません。
決算書を使って、これからの経営を考えること。
それが大切なのではないでしょうか。
皆さんの会社では、決算書をどのように活用されていますか?
今年の結果を確認するだけで終わっていないでしょうか。
もし、決算書を見ながら来年の会社について考えるとしたら、まず何を変えたいと思いますか?
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