会計・数字
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売上が増えているのに、なぜお金が残らないのだろうか。
決算報告の際、お客様からよく言われる言葉があります。
「先生、利益が出ているのはわかったけど、お金が残ってないの?」
決算書を見ると、確かに利益は出ています。
売上も前年より増えている。
会社としては順調に成長しているように見えます。
でも、社長が銀行口座を確認すると、思っていたほどお金が増えていない。
「こんなに頑張っているのに、どうして?」
そんな疑問を持たれるのも、無理はないと思います。
実は、利益が出ていることと、お金が増えていることは、必ずしも同じではありません。
今日は、そんな会社のお金について考えてみたいと思います。
利益が出ているのに、お金が増えない理由
例えば、ある会社が1年間で1,000万円の利益を出したとします。
社長としては、銀行預金も1,000万円くらい増えているような気がするかもしれません。
でも、実際にはそうならないことがあります。
なぜでしょうか。
理由はいくつかあります。
まず、借入金の返済です。
銀行から借りたお金を毎月返済している会社は多いと思います。
例えば、年間600万円の借入金を返済したとします。
この600万円は銀行口座から出ていきますが、借入金の元本返済は経費にはなりません。
つまり、利益を計算するときには差し引かれないのです。
次に、設備投資です。
新しい機械を購入したり、車を買い替えたり、パソコンを導入したり。
会社が成長するためには、こうした投資も必要です。
ところが、購入した金額が、そのまま全額経費になるとは限りません。
減価償却という方法で、何年かに分けて経費にしていく場合があります。
そのため、お金は先に出ていっても、利益には少しずつしか反映されないことがあります。
さらに、売掛金や在庫の増加も関係します。
売上が増えても、まだお客様から代金を受け取っていなければ、銀行口座のお金は増えません。
商品を仕入れて在庫が増えれば、その分のお金が必要になることもあります。
こうして考えると、利益とお金が一致しない理由が少し見えてきます。
売上が増えると、お金が必要になることもある
もう一つ、経営者の方に知っていただきたいことがあります。
それは、会社が成長するときほど、お金が必要になる場合があるということです。
例えば、売上が1億円から1億5,000万円に増えた会社があったとします。
売上が増えることは、もちろん喜ばしいことです。
でも、売上が増えれば、それに伴って仕入れや外注費が増えることがあります。
社員を採用したり、設備を増やしたりすることもあるでしょう。
しかも、売上代金が入金される前に、仕入代金や給与を支払わなければならない場合もあります。
売上が増えているのに、手元のお金は以前より少なくなっている。
そんなことも起こり得るのです。
だからこそ、売上や利益だけでなく、お金の動きにも目を向ける必要があるのだと思います。
決算書だけでは見えないこと
私は税理士という仕事柄、毎日のように会社の数字を見ています。
売上はいくらだったのか。
利益はいくら残ったのか。
経費は増えているのか、減っているのか。
もちろん、どれも大切な数字です。
でも、決算報告の際に「お金が残ってないの?」と聞かれるたびに、改めて感じることがあります。
それは、社長が本当に知りたいのは、利益の金額だけではないということです。
「なぜ、お金が増えなかったのか」
「今の会社には、どれくらい余裕があるのか」
「来年、設備投資をしても大丈夫なのか」
「社員の給与を上げることはできるのか」
こうしたことを知りたいのではないでしょうか。
そのためには、損益計算書だけでなく、貸借対照表や資金繰りにも目を向けることが大切です。
利益が出ているのにお金が増えていないのであれば、何にお金を使ったのか。
逆に、利益が少なくてもお金が増えているのであれば、その理由は何なのか。
数字の背景を一つずつ確認していくことで、会社の状況が少しずつ見えてきます。
大切なのは、お金を残すことだけではない
ここまで、お金が残らない理由について書いてきました。
ただ、私は、お金が減ることが必ずしも悪いことだとは思っていません。
例えば、将来の成長のために設備投資をした。
社員が働きやすい環境を整えた。
新しい事業に挑戦するために準備を進めた。
こうしたことにお金を使った結果、一時的に預金が減ることもあるでしょう。
大切なのは、何のためにお金を使い、その結果、会社がどうなっていくのかを理解していることではないでしょうか。
もちろん、将来への投資だからといって、何でも使ってよいわけではありません。
会社を続けていくためには、必要な資金を確保しておくことも欠かせません。
今、どれくらいのお金があるのか。
これから、どれくらいのお金が必要になるのか。
そして、将来のために、どれくらい投資できるのか。
そんなことを考えるためにも、会社の数字を活用していただきたいと思っています。
数字を、未来の経営に活かす
決算書は、1年間の経営の結果をまとめたものです。
でも、せっかく作成した決算書を、税金の計算だけで終わらせてしまうのは、少しもったいない気がします。
利益が出た理由。
お金が増えなかった理由。
そして、これから会社をどうしていきたいのか。
過去の数字を振り返りながら、未来について考える。
私は、そんな時間を社長と共有することも、税理士の大切な仕事だと思っています。
売上が増えた。
利益も出た。
それは、とても大切なことです。
でも、もう一歩踏み込んで考えてみると、会社の違った姿が見えてくるかもしれません。
皆さんの会社では、利益とお金の動きを、どれくらい把握できていますか?
そして、これから増やしていきたいのは、売上でしょうか。利益でしょうか。
それとも、将来のために使えるお金でしょうか。
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