経営計画
OK会計
経営計画書は、何のためにつくるのか。
「岡本さんは、何のために経営計画書をつくっているんですか?」
先日、そんな質問をされました。少し驚きました。私にとって経営計画書は、毎年つくることが当たり前になっていたからです。もちろん、何も考えずにつくっているわけではありません。会社の目標を考え、数字を計画し、これから取り組むことを整理する。毎年それなりに時間をかけています。
それでも、改めて「何のために?」と聞かれると、すぐには一言で答えられませんでした。当たり前になっていることほど、理由を考える機会は少なくなるのかもしれません。
今回は、この質問をきっかけに私自身が考えたことを、経営計画書に悩む経営者の方と一緒に整理してみたいと思います。
経営計画書が「数字の表」になってしまうとき
「経営計画書をつくったけれど、結局、引き出しにしまったままになっている」
「つくること自体が目的になってしまい、日々の仕事とつながらない」
こうしたお話を、経営者の方から伺うことがあります。
経営計画書というと、売上目標や利益計画を思い浮かべる方が多いと思います。来年の売上はいくらか、利益はどれくらい残したいか、そのために何をするのか。数字を考えることは、もちろん大切です。
ただ、数字から考え始めると、計画書は「達成すべきノルマの表」になりやすいように感じます。
そうなると、計画と日々の仕事の間に距離が生まれます。社員の皆さんにとっては「会社が決めた数字」であり、社長ご自身にとっても「つくらなければならない書類」になってしまいます。
これは、社長の意欲や能力の問題ではありません。数字より前に考えておきたいことが、置き去りになりやすいという構造の問題だと思います。
数字の前に、「どんな会社をつくりたいのか」
数字を考える前に、もっと大切なことがあるように思います。
自分は、どんな会社をつくりたいのだろう。
売上が大きくなればいいのか。社員が増えればいいのか。利益がたくさん残ればいいのか。どれも経営には大切ですが、それだけが目的ではないはずです。
どんなお客様と仕事をしたいのか
一緒に働く仲間に、どんな毎日を過ごしてほしいのか
自分自身は、どんな経営者でありたいのか
こうしたことを考えていくと、数字だけでは表せない「目指したい会社の姿」が見えてきます。数字は、その姿に近づくための道しるべです。順番としては、まず姿があり、次に数字、そして日々の行動が続く。この流れがあると、計画書と毎日の仕事がつながりやすくなると感じています。
忙しい毎日だからこそ、立ち止まる
経営者の毎日は、本当に忙しいものです。お客様への対応、社員からの相談、資金繰り、採用、営業。次から次へと仕事がやってきます。
私自身も、日々の仕事に追われて、気がつけば一日が終わっていることがあります。目の前の仕事を一生懸命やっているのに、会社の未来について考える時間がなかなか取れない。そんな状態は、決して珍しくないと思います。
だからこそ、時々立ち止まって確認することが必要なのだと思います。
今やっていることは、目指す会社につながっているだろうか。
忙しく働いているけれど、目指す方向に進んでいるだろうか。
経営計画書は、そんな問いを自分に投げかけるきっかけにもなります。
計画どおりにいかなくてもいい
経営計画をつくっても、そのとおりに進むとは限りません。むしろ、計画どおりにいかないことの方が多いかもしれません。売上が予定より少なかったり、思いがけない仕事が入ってきたり、社員の状況が変わったり。経営には、予想できないことがたくさんあります。
それでも、計画をつくる意味はあると私は考えています。計画があるからこそ、今どこにいるのか、何が変わったのかを確認できます。必要であれば、進み方を変えることもできます。
計画は、未来をそのとおりに実現するための約束ではなく、未来に向かって考え続けるためのものなのかもしれません。
明日からできる、小さな第一歩
まだ経営計画書がない方も、すでにお持ちの方も、まずは15分だけ、数字を使わずに紙に書き出してみてはいかがでしょうか。
どんなお客様と、仕事をしたいか
一緒に働く仲間に、どんな毎日を過ごしてほしいか
5年後、自分はどんな経営者でありたいか
きれいな文章にする必要はありません。箇条書きで十分です。書いたものは、手帳や机の見えるところに置いておきます。
すでに計画書をお持ちの方は、その1ページ目を開いて、「この計画書は、今の自分が目指す姿とつながっているか」を眺めてみるのもよいと思います。違和感があれば、それも大切な気づきです。数字を直すのは、その後で構いません。
最後に、どんな会社でありたいのか
今回の質問をきっかけに、何のために経営計画書をつくるのか、私自身も改めて考えました。今の私の答えは、とてもシンプルです。
自分が目指す会社の姿を、見失わないため。
私が目指しているのは、最後に心から「ありがとう」と言える会社、そして「ありがとう」と言っていただける会社です。お客様にも、一緒に働く仲間にも、関わってくださる方々にも。
もちろん、まだまだできていないこともあります。だからこそ、毎年考え、書き直し、少しずつ近づいていきたいと思っています。経営計画書は完成させることが目的ではなく、目指す会社に近づくために、これからも使い続けていくものだと思っています。
皆さんは、どんな会社をつくりたいですか。そして、その姿を、普段どれくらい意識できているでしょうか。
私もまた、経営計画書を開きながら、考えてみたいと思います。
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